渡辺謙主演「沈まぬ太陽」

昨日、渡辺謙主演映画「沈まぬ太陽」を観て来た。

11月1日、ファーストデーで映画が1,000円で観られるということもあったのだろう、TOHOシネマは屋外まで続く長蛇の列がチケットブースに出来ていた。それに2週間限定公開というマイケル・ジャクソンのTHIS IS ITが公開になっていることもあったのかも。

とにかく9時15分の回を観ようと出掛けたのに、これでは間に合わない。仕方なくとっさに携帯を取り出して、ネットからvitでチケットを確保することに決めたのだが、もう売り切れ。次の10時15分しかなかった。

チケットブースに並ぶ長蛇の列を横目に、10時15分のチケットを購入。1時間あまりの時間を近くのスターバックスで過ごした。

TOHOシネマはとにかく大混雑。館内に入場すると、3時間22分という長時間のため、途中で10分間の休憩があるという貼り紙がしてあった。

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冒頭から、航空機の墜落シーンで始まる。何だか気のせいかもしれないけれど、息苦しくて見ているのがつらかった。もちろん映画であって、フィクションなんだけど、やはりモチーフにしたという日航機墜落の記憶がいやでも重なってしまう。

国民航空のジャンボ機墜落事故と社内の利権争い、政治家の不正。そんなテーマがさらに身近な気分にさせる。あ~、こうやっていつの時代も楽をして金儲けをしよう、という極悪な人間がいるのか、と嫌気がさす。現実、日本航空の経営悪化というニュースまでもが映画とオーバーラップして、映画なんだけど、ドキュメンタリーを観ているようだった。

1980年代の日本を舞台に、そのセットもすごかった。羽田空港やそこで行き来する人の服装、コピー機なども当時を思い起こさせるもので、さらにドキュメント感覚をあおる。

そりゃ今までに何度も映画化が見送られたって話しも納得できる。どう観たってJALの墜落事故そのものだから。劇中に出てくる国民航空だって、ロゴマークはJALにそっくりだし、NAL (National Air Lines)に変わっただけ。

そんな中、渡辺謙が扮する恩地元は、やや正義感が強すぎる感じがして、これまた「ちょっと嫌な奴」に映ったけれど、ストーリーが進んでそれぞれの人生が見え始めた頃には「嫌気」はなくなっていた。

組合の委員長として、社員の劣悪な労働環境を改善するために正義を貫いた結果、会社の経営陣からは「要注意人物」として煙たがれ、相次ぐ海外勤務でたらいまわしにされる。幾度と「会社に一筆詫び状を入れれば重要ポストに戻す」と声を掛けられるが、首を縦には振らない。「会社に一筆詫び状を入れる」・・・?一体どんな悪いことをした?やるべきことをしただけ。そう主張する恩地の気持ちは痛いほど伝わってくる。

巨大企業の腐敗した体質と政治とカネ。テーマが大きいだけに3時間22分という長時間も苦にはならず、むしろ短く感じたくらいだった。最近の映画では、扱うテーマが大きいのに2時間の枠に収めようとして無理に作られている気がする。例えば先日見た「さまよう刃」(寺尾聰)。少年法と言う大きなテーマを扱っていて主演の寺尾聰も良かったけれど、結局少年法の持つ問題点には深く切り込んでいなかった。狂気迫る寺尾聰の演技だけが表に出ていて、それはとても感動したのだけれど、でも見終えると、「少年法については??」という感じで物足りなかったから。

沈まぬ太陽は前半2時間のところで10分間の休憩が入り、タイミングも悪くなかった。

多くの海外ロケも盛り込まれていて、特にアフリカの大地の映像は素晴らしかった。それだけに、ひとつだけ残念に感じたことが・・・。それは羽田を離陸するジャンボ機のCG。どう見ても安っぽいCGだと分かる映像で、日本映画界の技術っていまだにウルトラマンのような特撮なのか?とガッカリした。きっと精巧に作られたミニチュアの模型を合成したんだろうけど、あまりに精巧に作りすぎて、きれいに映っているもんだから、周りの背景の映像とマッチしていない。離陸後の航空機のスピードも速すぎて不自然だったし、羽田の航空機離陸シーンは何度も出てきたので、余計に気になった。ここまで時間とお金を注ぎ込んだのなら、航空機のCG合成も海外のILMなんかに依頼すればよかったのに・・・。

最後に、渡辺謙の英語の発音は良かった。さすがハリウッド俳優。他の日本人俳優が話す英語は聞くに堪えないものだった。

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